農業における高齢化の現状と解決策
日本の『農業』は、「高齢化」や「人手不足」が深刻であると表現されることが多い業界です。少子高齢化が進む日本においては、様々な業界でも同様の課題があるはずです。そんな中、『農業』おいて、これほどまでに「高齢化」「人手不足」のイメージが定着しているのはなぜなのか?その現状と実態について、統計データをもとに分析してみましょう。
全産業における年齢別の労働力人口構成
現在の日本は、世界でも有数の少子高齢社会であり、多くの産業・業界において労働力不足が深刻化しています。
総務省の統計によると、2021年現在、65歳以上の労働力人口は約929万人となっています。定年退職の年齢引上げや再雇用制度の広がりにより、その数は年々増加しています。しかし、労働力人口に占める65歳以上の割合は、意外にも2021年現在で13.5%に留まります。
15~64歳の労働力人口が、65歳以上の労働力人口の6倍以上となっていることがわかります。
それでは、『農業』における、労働力人口の構成はどのようになっているのでしょうか。
農業における年齢別の労働力人口構成
農林水産省の統計によると、農業に主として従事する「基幹的農業従事者数」は、2020年現在で約136万人となっています。そのうち65歳以上は、約95万人です。割合にして、約70%が65歳以上であることがわかります。
この割合は、前述した全業界での割合と比較して5倍以上の水準となっています。これらのデータから、いかに『農業』における高齢化が深刻であるかが明らかになりました。
〇基幹的農業従事者の定義
農業に主として従事した世帯員(農業就業人口)のうち、調査期日前1年間のふだんの主な状態が「仕事に従事していた者」のことをいう。
『農業』における高齢化を解決して、将来的に農業人口を増やすためには、今後どのように取り組めばよいのでしょうか。
農業の高齢化をどうやって解決するのか
ここまで『農業』における高齢化の深刻さについて述べてきました。
この状況を打開するためは、若い農業経営者・農業従事者の増加が不可欠です。これまでも新規就農者を増やすための支援策が多く打ち出されていますが、新規就農者数は、2015年以降、年々減少しています。また、新規就農者数に占める49歳以下の割合は、30~40%と低位で推移しており、根本的な解決のためには、特に「若い新規就農者」を増やすことが不可欠といえます。
そのための一つの手段として、筆者は、「『第三者への事業承継(M&A)』を活用した新規就農」が有益であると考えています。M&Aと聞くと、メディアで取り上げられる大企業同士の敵対的なM&Aを想像される方が多いかもしれません。しかしながら、昨今は、中小企業間、個人事業主間の友好的なM&Aも活発に行われています。
M&Aを活用した、新規就農の事例をご紹介します。
既存の農家が活用していた資産等の経営資源・ノウハウを引き継ぐことで、新規就農者が農業経営を始める「『第三者への事業承継(M&A)』を活用した新規就農」の形です。
不安定な農業だからこそ、既存の経営資源・ノウハウを引き継ぐことで、確実性を高め、新規就農のハードルを下げることに繋がるのです。
最後に
以上、農業における高齢化の現状と筆者が考える解決策について述べました。
当ブログでは、農業に関するトピックを取り上げていきます。特に「事業承継」に焦点を当てた記事を中心に記載していく予定ですので、応援いただけますと幸いです。